クリニックのパートタイマーを上手に活用する方法
先生達のクリニックでは、アルバイトやパートタイマーを活用していますか?
最近では、「パート抜きには運営が成り立たない」と感じているクリニックもあるぐらいです。正スタッフとパートの違いは、「雇用契約上の勤務時間」にあります。もちろん、それによって任せる業務内容が変わったり、業務責任度が異なったり、扶養内で働きたい要望など、色々とあります。
この記事でパートタイマーの活用法と注意点を理解すれば、クリニックでの採用課題や業務改善につながるかもしれません。
今回は、クリニックのパートタイマーの活用法、パートタイマーについてのよくある疑問点や注意点、有給などの労務と関連することについても説明します。
- パートタイマーの労務上の注意点を知りたい
- パートタイマーを採用するメリットを知りたい
- パートタイマーを活用する方法を知りたい
上手くパートを活用する事で、経営もスリムになり労務負担も減らす事が出来るので、しっかり押さえておきたいですね!
クリニックのパートタイマーを上手に活用する方法
結論:パートタイムを活用すると
- 人員コストを抑えながら、必要な人員に必要な時間だけ働いてもらう
- 柔軟なシフト調整による業務負担の改善
- 人材リソースの観点からも経営基盤の強化
が可能です。
少子高齢化の進行にともない労働力人口が減少していくなかで、直近では、パートタイム労働者は雇用者全体の約4分の1を占めています。
また、内訳を見るとパートタイム労働者全体の約4分の3を女性が占めています。パートタイム労働者や有期雇用労働者の数は長期的には増加傾向にあるとされています。
クリニックでは女性スタッフを採用することも多いことから、人手不足に悩んでいる場合はパートタイマーを逆転的に捉え、活用することを検討してください。
参考:230529 あらまし完成版x4 (mhlw.go.jp)
パートタイマーとは
パートタイム労働者の定義
パートタイム労働者(短時間労働者)の定義は
1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者
とされています。
例えば、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など、呼び方は異なっても、この条件に当てはまる労働者であれば、「パートタイム労働者」としてパートタイム労働法の対象となります。
パートタイム・有期雇用労働法とは
「パートタイム・有期雇用労働法」は2020年に施行された、主に正社員と非正規社員との待遇差を禁止する法律です。
「パートタイム・有期雇用労働法」の先駆けは、1993年に施行された「パートタイム労働法」です。「パートタイム労働法」が施行されてから数回の改正を経て、「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されました。
2020年4月から大企業が対象になり、2021年4月から中小企業も対象になっています。
「パートタイム・有期雇用労働法」の改正3ポイント
- 不合理な待遇差の禁止(同一労働同一賃金)
- 労働者の待遇に関する説明義務の強化明示義務
- 裁判外紛争解決手続(ADR)の整備
順に説明していきます。
不合理な待遇差の禁止(同一労働同一賃金)
法改正により、基本給や賞与などにおける不合理な待遇差が禁止されました。
「同一労働同一賃金」とは、雇用形態にかかわらず、同じ業務内容であれば同じように賃金を支給する考え方です。正社員と非正規社員との不合理な待遇を禁止するため、以前から取り組まれてきました。
具体的に待遇の差が禁止されるものは、以下になります。
- 基本給
- 賞与
- 通勤手当
- 皆勤手当
- 福利厚生
- 教育訓練
労働者の待遇に関する説明義務の強化
パートタイム労働者や有期雇用労働者は、待遇差の内容や理由の説明を事業主に求められるようになりました。
説明が求められた場合には、事業主は待遇差に関して説明する必要があります。事業主は説明を求めた従業員に対し、解雇などの不利益な対応をしてはいけません。
またパートタイム・有期雇用労働者の労働条件は、個々の事情に応じて多様に設定されることが多いことから、パートタイム・有期雇用労働法において、これらに加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口(都道府県が指定するもの)」の4つの事項について、文書の交付などにより、速やかに、パートタイム・有期雇用労働者に明示することが義務付けられています。
裁判外紛争解決手続(ADR)の整備
行政ADRとは、労働者と事業主の紛争を裁判以外の方法で解決するための手続きです。
労働者と事業主でトラブルが生じた際には、都道府県労働局が解決の援助をおこないます。整備されたものは、以下のとおりです。
- 都道府県労働局長による紛争解決の援助
- 均衡待遇調停会議による調停
パートタイムを採用するメリット
人員調整しやすい
一つめのメリットに挙げるのが、人員調整のしやすさです。繁忙期や、昼間、土日など人が足りない時に働いてもらえます。それだけでも助かる上に、柔軟なシフト調整ができることは決して働く側だけでなく、雇用する側にとっても大きなメリットと言えます。
人員コストを抑えられる
支払う賃金を相応に抑えることが可能です。
パートタイムが担う業務は、一般的に正スタッフと比較してマニュアル化しやすいものが多く、業務の難易度はそう高くない傾向にあります。
ただし、あくまでもそれはパートタイム・有期雇用労働法に違反しないことが前提にあります。再三お伝えしているとおり、通常の労働者と同じ業務内容にもかかわらずパートタイム労働者だからという理由で給与(待遇)に差をつけてはいけません。
経営の基盤を構築できる
経営の基盤を構築する意味でも、パートタイム労働者を雇うことは有効です。
パートタイムと正スタッフを混合させることは、経営リソースの観点からしても、人材リソースの文脈でいえば、リスクヘッジにも繋がります。またパートタイム労働者にゆくゆくは正社員になってもらいたい場合も少なくないでしょうし、採用の間口を広げるチャンスでもあります。
人手不足の問題を根本から解消するのはなかなか困難かもしれません。他方、裏を返せば、中長期的な視野で採用活動に取り組むことが大切です。
<ここまで読んで下さっている先生方へお伝えしたい事>
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パートタイマー活用の注意点
社会保険加入の問題
パートの方が今までより長く働くことになった場合、着目されるのが「4分の3基準」です。
- ①1週間の所定労働時間が一般職員の4分の3以上であるか
- ②1ヶ月の所定労働日数が一般職員の4分の3以上であるか
この①、②の両方の要件を満たしたときには常用的雇用関係があるとされて、社会保険に加入することとなります。
臨時的に4分の3を超えた場合
社会保険に加入させるつもりがない場合は、臨時的であっても4分の3を超えるのは1ヶ月のみとしなければなりません。
社会保険に加入させるつもりがなくても、例えばとても忙しい月があったり、急にスタッフが退職してその穴埋めとしてパートの方に勤務してもらうことがあると思います。その場合でも上記の要件に該当し、この状態が2ヶ月続いてしまうと、社会保険に加入する要件に該当するため、加入しなければなりません。
社会保険の扶養について
社会保険は、上記の日数だけの問題ではありません。給与による年収130万(月10.8万程)を超えた人は社会保険の加入義務が生じます。その際は、原則として扶養から外れます。
よくある質問
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