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クリニックに固定残業代制度を導入する時の注意点

皆様のクリニックでは「固定残業代(=みなし残業代)」を導入しているでしょうか?

「固定残業代」を既に導入しているクリニック、また導入を検討しているクリニックは多いと思います。しかし、「固定残業代」の知識や運用を正しく理解せずに導入すると、「未払い残業代」などの労務トラブルに繋がります。また固定残業代を新たに導入する際には、既存のスタッフにも丁寧な説明をし、誤解が生じないようにすることが大切となってきます。

今回は、クリニックにおける固定残業代のメリット・デメリットと制度の注意点、またよくある質問などについて紹介します。

この記事はこんな先生にオススメ!
  • 固定残業代のメリット・デメリットを知りたい
  • 固定残業代が効果的な場合を知りたい
  • 固定残業代を導入しているが、注意点を知りたい
ラリホ

人件費の見通しもしやすく、業務効率も上がるので取り入れたいと思っているクリニックも多いですね。

目次

クリニックにおける固定残業代まとめ

  • 固定残業代の計算方法は2種類ある
  • 固定残業代は雇用契約書か就業規則に記載する必要がある
  • 固定残業代を採用しても勤怠管理を徹底する

クリニックに固定残業代制度を導入する時の注意点

結論:固定残業代制度のメリットやデメリットを理解し、適切な勤怠管理を行う必要があります。

固定残業代制による典型的な労務トラブルは主に、『計算方法の間違い』『残業代の差額支払いを行わないことによる「未払い残業代」の発生』という問題があります。また固定残業制を導入する場合には、残業がない月も固定残業代は支払わなければいけないなど、導入の注意点が多い制度のため要チェックです。

固定残業代について

固定残業代とは

毎月支払われる固定給の中にあらかじめ含まれている残業代のことを固定残業代といいます。「◯◯時間残業したとみなして支払われる残業代」であることから、みなし残業代と呼ぶこともあります。

固定残業代を導入する目的

固定残業代を導入することで従業員にとっては残業時間を抑えたほうが1時間あたりの賃金が高くなるため、生産性を上げるモチベーションになると同時に、従業員の不公平感の解消につながるとされています。

固定残業代を雇用契約書と就業規則に明記する

固定残業代は賃金の一部であり、賃金は、就業規則の「絶対的必要記載事項」として、法律によって、その内容を就業規則に必ず記載しなければならないとされています。

また、雇用契約書又は労働条件通知書においても、「絶対的明示事項」として、賃金に関する事項を書面で交付することが義務付けられています。

雇用契約書の記載例

参考までに雇用契約書の記載例を紹介します。

支給する賃金の内訳は次のとおりです。

  • ①基本給:210,000円
  • ②固定残業手当:20,000円~(10時間相当の時間外労働に対する割増賃金として支給する)
  • ③通勤手当:10,000円
  • ④合計支給額(①+②+③):240,000円

この場合、月10時間分の残業代があらかじめ固定給に含まれています。そのため月の残業時間が0時間でも9時間でも、10時間を超えない限り月給は変わりません。

ただし残業時間が月10時間を超えた場合は、超過した時間に応じて残業代が別途支給されます。例えば、月の残業時間が20時間の場合は10時間分の残業代が支払われます。

就業規則における記載例

就業規則の記載例は下記になります。

固定残業手当

  • 第〇条 固定残業手当は、第〇条に定める時間外労働の対象として支給する。
  • 第二項 固定残業手当の額は月額〇万円とし、約〇時間分の時間外労働に対応する時間外手当が含まれるものとする。
  • 第三項 会社は、賃金の支払時に賃金明細書を従業員各人ごとに明示することとし、各人ごとの時間外労働の時間数と時間外手当の額を明示する。
  • 第四項 会社は、従業員が第2項に定める時間を超過して時間外労働をした場合には、その不足分(差額)を支給する。

固定残業代の計算方法

 1. 基本給に残業手当が追加されているパターン

固定残業代=(給与総額÷月平均所定労働時間)×固定残業時間×1.25(割増率)

たとえば、1ヵ月の賃金が210,000円・月平均所定労働時間160時間・固定残業時間10時間の社員の固定残業代は、以下の通りとなります。

 210,000÷160×10×1.25=16,406

すなわち、1万6,406円が妥当な固定残業代です。また若干多く設定することで、賃金の近いスタッフを一括で勤怠管理する場合に適していること、将来的な昇給にも簡易に対応できます。

2. 基本給に残業手当組み込むパターン

固定残業代=基本給÷ {月平均所定労働時間+(固定残業時間×1.25)} ×固定残業時間×1.25

組込型では、固定残業代を含めた時間給の計算、固定時間分の残業代の計算をし、最後に給与総額から固定残業代を引いて基本給を調整します。

 固定残業代=210,000÷{160+(10×1.25)}×10×1.25=15,217

組込型の場合、固定残業代は15,217円です。

なお、算出した時間給が都道府県で定められた金額よりも低い場合は最低賃金法違反となります。

クリニックにとって固定残業代制度のメリット・デメリット

クリニックにとって固定残業代制度のメリット

・業務効率を上げることにつながる

固定残業代制度を導入しているクリニックでは、労働者の業務効率化の意識が高まります。残業をしなくても給料が同じであれば、あえて残業をしたい人は少数派と考えられます。全員が残業を減らそうと努力することで、すぐに帰る雰囲気ができます。

・人件費の見通しが立ちやすい

人件費は、クリニックの支出の中でも大きな割合を占める支出です。人件費の変動幅が抑えられ、見通しが立てやすくなると、支出予測がしやすくなります。

・給料計算の工数削減

固定残業代のメリットとして、例えば毎月平均で8時間の残業がある場合、10時間の残業を含むとすれば、給料計算の手間がかからないといった工数削減の効果もあります。

クリニックにとって固定残業代制度のデメリット

・残業が発生していなくても残業代の支払いが生じる

残業をしていない従業員に対しても、一定の残業代を支払わなければなりません。残業が少ないクリニックでは、みなし残業代を導入すると人件費ベースが高くなる可能性があります。

・マイナスイメージを持たれやすい

残業代を正しく支払わず違法となる可能性があるケースも多く、求職者にとってもマイナス印象を受ける場合があります。それによって応募意欲が低下する可能性があります。

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固定残業代導入の注意点

固定残業代の導入統計から

結論、固定残業代制度を導入している事業所は多くありません。

一般企業も対象になりますが、東京都産業労働局の平成29年調査によると、時間外手当の支給方法は、「実績に基づき支給している」が 79.8%で大部分を占めていて、「一定時間数分を定額で支給し、これを超えた時間について支払う」が8.9%であり、通常の残業代支給を行う企業が多数となっています。

https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/jiccho28_gaiyo.pdf

固定残業代の規定時間を超えた場合

固定残業代を導入しているから、勤怠管理が杜撰になっては問題となります。

固定残業代制による典型的な労務トラブルは、残業代の差額支払いを行わないことにより「未払い残業代」が発生している、という問題があります。

固定残業代を設定した時間を超えた場合、別途、上乗せして残業代を支払わなければならないことからもタイムカードの打刻厳守や残業の指示をした場合は管理を行うことが必要です。

残業がない月も固定残業代は支払う

固定残業制を導入する場合、残業がない月も固定残業代は支払わなければなりません。

繰り返しになりますが、その制度の原則上、固定残業代は、事前に決めた残業時間に対して残業代を支払う制度であり、実際に残業が少ない月でも、固定残業代は全額支払う必要があります。

よくある質問

事務処理時間の簡便化のために、残業代を定額支給にしていますが、スタッフから実際の残業に見合った金額が支給されているのか疑問の声が上がっています。どのように対応すればいいですか?

固定残業代の算出根拠、時間を示して対応してください。また計算額が不適切であった場合は、固定残業代を適切な形で支給してください。

一般的に残業代の定額支給は法令違反を招きやすいだけでなく、長時間労働の温床にもなりやすいものです。労働時間の管理方法とともに見直すべき課題の一つです。

事務スタッフの少ない医療機関でも導入しているケースがありますが、残業時間に関する意識が薄れるパターンがあり、想定時間を意図せず超えてしまうこともあります。

固定残業代を雇用契約書や就業規則に記載せずに、運用できますか?

何の定めもない場合や、割増賃金の額が不明確な場合には、「基本給の中に割増賃金が含まれている」という主張自体が認められないので、注意が必要です。

適法に固定残業手当を導入するためには、就業規則、賃金規程、労働契約などにおいて、明確に定めてあることが必要です。

参考:固定残業手当とは?|労基署対策Q&A (roukitaisaku.com)

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この記事の執筆者

ラリホのアバター ラリホ サイト制作ディレクター

株式会社メディカルリンク代表。現役臨床医。医学部卒後はエンジニア兼医師として採用ソリューション事業開発に従事。後に、メディカルリンクを創業。得意領域はサイト開発、競合分析。社内では制作ディレクションを行う。

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