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クリニックスタッフ採用時の雇用契約書を作成する時の注意点

スタッフの採用手続きを行う際、クリニックが準備したり採用内定者から提出してもらったりする書類があります。そこで、「採用手続きで必要な書類は何がある?」「雇用契約書はこれで問題ない?」など採用の際に書類関係で困るポイントについて、記事でわかりやすくまとめました。

また今回は雇用契約に必要な書類で注意すべきこと労務トラブルを事前に回避するためのポイントをご紹介します。

この記事はこんな先生にオススメ!
  • 採用時に必要とされる書類関係を確認したい
  • 雇用契約書、労働条件通知書の記載事項を確認したい
  • 採用時及び労使契約での注意点を知りたい
ラリホ

ルーチンワークで採用している開業医の先生も、一度この記事から足りない書類を洗ってみましょう!

目次

クリニックスタッフ採用時の書類まとめ

  • 採用時には労働条件通知書か雇用契約書を必ず渡す必要がある
  • 労働条件通知書、雇用契約書には記載すべき事項が決まっている
  • 雇用形態別に準備することが重要である

クリニックスタッフ採用時の提出書類は完璧か

結論:採用時には、労働条件通知書と雇用契約書が必須です。またそれらには絶対的記載事項相対的記載事項があり、内容の抜け漏れは認められません。

また有期雇用などの雇用形態別にも注意点がありますので、本記事ではこれら記載事項や採用時の書類について解説していきます。

クリニックの採用時に必要な書類とは

クリニックでは新しくスタッフを雇用した際に、保険加入手続きや税金を納めるのに必要な手続きをおこなう必要があります。

下記が一般的なクリニックで必要な書類になります。

クリニック側が採用時にスタッフに渡すもの

  • 労働条件通知書
  • 雇用契約書

スタッフに対して提出を要求するもの

  • 扶養控除等申告書
  • 給与振込先の届出
  • 住民票記載事項証明書
  • 年金手帳
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • マイナンバー

「年金手帳」や「雇用保険被保険者証」は、社会保険の加入手続きに必要となり、「源泉徴収票」は年末調整(所得税の清算)の事務を行なう場合に必要です。この他に、「通勤交通費」や「家族手当」の申請書など、採用時に必要となる書類は多く、クリニックごとに様々です。

労働条件通知書と雇用契約書の違い

雇用契約書は、契約書の一種ですので、使用者と従業員の両方の署名押印(又は記名捺印)が必要です。労働条件通知書は、使用者が作成して従業員へ一方的に交付することが予定されている書面ですので、使用者の署名や押印があるとしても、従業員側は署名押印(又は記名捺印)しません。

労働条件通知書と雇用契約書どちらかで問題ないか

合意を証明するためにも、雇用契約書を締結することが望ましいです。

雇用契約書と労働条件通知書とは、従業員による署名押印の有無という点が異なります。そのため、労働条件通知書を交付することだけで労働条件明示義務を履行する方法は、時間的にも事務手続的にも簡便な部分があることはメリットになります。

しかし、労働条件通知書は、使用者と従業員との間の合意(雇用契約の成立)を証明する書面ではありませんので、後日、契約内容や労働条件に関する認識の有無、労働条件の明示の有無等を巡ってトラブルが発生する可能性があります。

労働条件の明示義務

クリニックでは採用時に、労働基準法第15条に基づき、賃金や労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。

労働基準法第15条

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

絶対的記載事項と相対的記載事項

また労働基準法上、従業員に対して明示することが求められている労働条件には、必ず明示しなければならない事項(絶対的明示事項)制度として定める場合には明示しなければならない事項(相対的明示事項)があります。

絶対的記載事項

どのような場合でも必ず記載しないといけない「絶対的記載事項」は、以下のとおりです。

  • 雇用契約の期間、期間の定めのある雇用契約の場合は、更新する場合の基準
  • 業務の場所・内容
  • 業務の始業時刻と終業時刻、昼夜二交代制等、従業員を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
  • 所定労働時間を超える労働の有無
  • 休憩時間
  • 休日、休暇
  • 賃金の決定、賃金の計算、賃金の支払方法、賃金の締切日、賃金の支払日、昇給に関する事項
  • 退職や解雇に関する規定

相対的記載事項

該当する制度を設けているのであれば明示しなければならない「相対的記載事項」は、以下のとおりです。

  • 退職手当の定めが適用される従業員の範囲、退職手当の決定・計算・支払の方法、退職手当の支払時期
  • 臨時に支払われる賃金、賞与に関する事項、最低賃金額
  • 従業員に負担させる食費、作業用品等に関する事項
  • 安全衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰や制裁に関する事項
  • 休職に関する事項

雇用契約書、労働条件通知書の作成について

従業員の雇用形態に合わせて作成する

従業員が正社員なのか、契約社員なのか、パート・アルバイトなのかといった雇用形態によって、労働時間や賃金形態が異なる人事制度を設けているクリニックも少なくないはずです。そのため、雇用契約書も、それぞれの雇用形態に適用される人事制度に沿って作成する必要があります。

①正社員の場合


正社員は『期間を定めない無期雇用契約社員』を指す場合が多いといえます。多くの会社ではこの雇用形態の従業員が最も多いと思われますので、まずは正社員向けの雇用契約書を作成し、これを基に他の雇用形態の雇用契約書を作成するのがよいでしょう。

②契約社員の場合

契約社員は『雇用主と期間の定められた労働契約を結び、契約で定められた仕事を行なう労働者のことを指します。ただし、法律上では「有期契約労働者」の一種であり、契約社員とは呼ばれません。

契約社員の場合、「契約期間の更新の有無」「更新の基準」「昇給・退職手当・賞与」の有無を明示することが必要です。

また労働契約法17条で、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」とされています。

そして、この「やむを得ない事由」という条件を満たすためのハードルは極めて高く、雇用契約期間の途中で契約社員を解雇した場合、裁判所が「やむを得ない事由があったから解雇は合法」と判断することはほとんどありません。

これは、雇用契約書で雇用契約の期間を定めた以上、「その期間中はよほどの事情がない限り雇用を継続することを会社は契約社員に約束した」と理解されるからです。

契約社員の無期契約への転換ルール

契約社員は下記の条件を3つ満たした場合、契約社員から無期契約への転換を求められれば、会社は応じる義務があります。

  • 平成25年4月1日以降の労働契約であること
  • 有期労働契約を2回以上結んでいること
  • 通算の労働契約が5年を超えていること

契約社員を雇用する場合は、「契約社員の雇用期間が通算5年を超えないように管理する」「5年を超えて無期契約に転換される契約社員が出てくることを踏まえてその場合の労働条件をあらかじめ定めておく」などの対応が必要になります。

出典:大阪労働局 – 有期契約労働者の無期転換ルールについて https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/_122220.html

試用期間がある場合

試用期間の存在や条件を明記しましょう。

雇用契約を締結するのは本採用が決まってから…と思われがちですが、実際は試用期間に入った時点で雇用契約は成立しますので、あらかじめ雇用契約書を取り交わしておかなければなりません。

雇用契約書に試用期間に関する事項を盛り込んでもよいですが、試用期間中の労働時間や処遇が本採用後と異なる場合は、専用の試用期間雇用契約書を用意した方がよいでしょう。

③パート・アルバイトの場合

パート・アルバイトは労働法条で明確な定義はありませんが、『正社員より短い時間で働く短時間労働者かつ有期雇用労働者』を指す場合が多いといえます。この場合も、契約社員と同様に、「契約期間の更新の有無」や「更新の基準」、「昇給・退職手当・賞与」の有無を明示することが必要です。

必要な記載事項の抜け漏れがないことを確認する

雇用契約書の締結のみをもって、法律上明示することが求められている労働条件を網羅しようとする場合には、絶対的記載事項を必ず記載しないといけませんし、該当する制度などを設けているのであれば、相対的記載事項も記載が必須となります。

<ここまで読んで下さっている先生方へお伝えしたい事>

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雇用契約書と労働条件通知書作成時の注意点

雇用契約書を作成(労働条件の明示)する際の注意点として、以下の2点について気をつけましょう。

就業規則に則った記載事項にする

必ず就業規則と雇用契約書の内容は統一しましょう。

労働契約法第12条(就業規則違反の労働契約)には就業規則の条件を下回る労働契約はその部分は無効にできるとしています。就業規則>雇用契約書ということになります。

労働契約法第12条

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。
この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

労働基準法に違反していないかを確認する

労働基準法等で定める水準の労働条件が従業員との間の契約内容になります。

雇用契約書の内容が労働基準法に定める水準を上回っていれば法的効力が発生しますが、これを下回っている場合、その内容は無効となります。そのため、雇用契約書を作成する場合、記載内容が労働基準法に違反をしていないかを確認する必要があります。

よくある質問

募集内容と異なる労働条件で採用することはできるか?

合意があれば問題ありません。

経験やスキルによって、労働条件で求人と異なる条件で雇用するケースも多いと思います。採用前の面接や入社時の話し合いで、求人時の労働条件を労働者と使用者が合意して変更したと認められるような事情があれば、問題ありません。

しかし、合意がなければ求人時の労働条件が有効になるケースもあるため、注意が必要です。

採用時には書面での労働契約書や労働条件通知が必要でしょうか?

労働契約や労働条件通知では、書面又は電子的交付が必要とされています。

従来、労働条件の明示は書面を従業員に交付する方法のみが認められていました。しかし、2019年4月1日の労働基準法改正により、電子的方法での交付も可能となりました。

なお、雇用契約書の締結方法については特に法律上の制限はありませんので、いわゆる電子契約の方法によって締結することが可能です。

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この記事の執筆者

ラリホのアバター ラリホ サイト制作ディレクター

株式会社メディカルリンク代表。現役臨床医。医学部卒後はエンジニア兼医師として採用ソリューション事業開発に従事。後に、メディカルリンクを創業。得意領域はサイト開発、競合分析。社内では制作ディレクションを行う。

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