クリニックスタッフが出勤しなくなった場合の対応とは?
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こんにちは。株式会社メディカルリンクのクリニック採用コラム編集部です。
突然ですが、急にクリニックスタッフが出勤しないケースで困ったことはありませんか?患者の来院予約が入っているのに突然出勤しなくなるスタッフがいると、現場の負担が大きくなり、不満や離職の原因となってしまいます。
今回はクリニックスタッフが出勤しなくなった場合の原因と対処方法について紹介します。
- 急な欠勤の原因、理由を知りたい
- スタッフが出勤しない場合の対処法がわからない
- 急な欠勤やトラブルを想定して、就業規則を定めたい
もちろん人間なので、何らかの理由で欠勤する事もあります。その時の対処法を覚えて、的確に対処していける様になるといいですね。
スタッフが出勤しないときの対処法まとめ
- 積極的に本人に連絡を取る
- 原因と理由によって対処を検討する
- いきなり解雇や減給をしてはいけない
新規採用のクリニックスタッフが欠勤した場合
新規スタッフが欠勤する主な原因
採用したばかりのスタッフが出勤しなくなるケースがあります。主な原因としては
- やむを得ない事情
- 出勤時間やシフトの勘違い、寝坊
- 新規職員にとって他に選択肢がある(売り手市場の場合に起こりやすい)
- 無責任パターン「なんとなく面倒になった」「職場の雰囲気が違った」
などが挙げられます。
新規スタッフが出勤しない時の対応
新規スタッフが急に出勤しないときには下記の順序で対応してください。
- スタッフと直接コンタクトを取り、理由を把握する
- 一緒に働いたスタッフがいる場合、ヒアリングし、業務状況などを把握する
- スタッフの採用担当者や研修担当者にヒアリングし、本人に関する情報を把握する
- スタッフの意思(復帰または退職)を確認する
まずは連絡を優先する
とにかく当日は、メールや電話で本人に連絡を取ろうとすることが何より重要です。医院には従業員の健康・安全に配慮する「安全配慮義務」があり、もし欠勤しているスタッフに何のアプローチもせず、「自宅で倒れていた」「事件に巻き込まれていた」といった場合、この安全配慮義務違反に問われる可能性があります。
新規スタッフの試用期間を延長する、本採用を拒否したりすることは可能か
採用直後から出勤状況が悪いなど、本採用とするのがどうしてもはばかられるような場合、試用期間を数週間ほど延長して様子をみることも認められる場合があります。
ただし、一般的には試用期間の延長は特別の理由のない限り認められません。
また、本採用拒否についても、既に労働契約が成立しているため、限定された場合にしか認められません。
試用期間に関しては相当の理由がない限り、一方的に延長することは認められないと考えられます。
この「相当の理由」の判断とは、
- 元々の試用期間の長さが労働者の適格性を判断するのに十分なものであったか、
- 延長しようとする期間がどの程度の長さのものか、延長する理由が客観的に判断できる明確なものであるか
- 延長をどうしても必要とするような合理的事情であるか
といった事情を考慮し、判断する必要があります。
また試用期間後の本採用拒否は法律上「解雇」にあたり、解雇の場合と同様に極めて限定された場合ということになります。
一般的には試用期間の延長は認められないのですね。
スタッフから退職の申し出があった場合の対応
辞意を受け取った旨と労使契約の処理を検討する
メールなどで退職願があった場合は、そもそも自院とマッチングしない人材だったと諦めるしかありません。もちろん、採用コストをかけてせっかく採用した人材ですので、引き止めたいという気持ちもあるでしょう。
しかし無断欠勤が原因の場合、クリニックにとっても本人にとっても良い結果は見込めないでしょう。また初日に来ない場合は、合意の元である労働契約がなかったものとして処理することができるため、最小限のリスクで処理することも可能になります。
既存スタッフが出勤しない主な原因
今まで問題がなかったスタッフが出勤しない理由や原因があるはずです。以下が主な原因として挙げられます。
- 無断欠勤
- やむを得ない事情
- 自己管理不足
- メンタル不調
- 職場のセクハラやパワハラ
特に、きちんと出勤していた従業員が無断欠勤をすることは、何か深い事情があるのかもしれません。また、事故や急病により連絡が取れない可能性もあります。
既存スタッフが出勤しないときの対応
スタッフが出勤しない時の対応
スタッフが欠勤した場合、下記の順序で対応してください。
- スタッフと直接コンタクトを取り、出勤しない理由を把握する
- 必要なシフト調整、業務引継ぎを行う
- 一緒に働いているスタッフにヒアリングし、直近の業務状況を把握する
- スタッフの管理者にあたるものにヒアリングし、本人に関する情報を把握する
- スタッフの意思(復帰または退職)を確認する
責任のある業務を多く抱えていた場合、他のスタッフに配慮しながら、適宜指示やフォローが必要になります。
出社命令を出す
正当な理由なく欠勤している場合や、あるいは連絡がとれないまま無断欠勤を続けている場合は出社命令を出す必要があります。「現状のままでは就業規則に基づき退職となる恐れがある」など、就業規則で定められていることがあれば明示しましょう。
電話やメールで連絡が取れない場合
- スタッフの自宅を訪問する。
- 身元保証人に連絡する。
- 書面等で出勤の催促をする。
スタッフの無断欠勤が続いて連絡が取れない場合は、後々のトラブルを避けるためにも、上記のような連絡を取る努力をして最善を尽くすことが大切です。
うつ症状など体調不良を理由とする場合
うつ症状などの体調不良を理由に仕事を休みたいという申し出があった場合、会社としては原則としてこれに応じる義務があります。
引継ぎの必要や多忙を理由に休ませるのを遅らせることは、安全配慮義務違反に該当する可能性が高いので注意してください(福岡高等裁判所平成28年10月14日判決等)
パワハラやセクハラなどを理由とする場合
まずハラスメントの有無を調査し、ハラスメントがある場合は、その問題を解消することが求められます。
まずはヒアリングの内容が事実があるかを調査し、結果的に問題が見つかればスタッフの欠勤は止むを得ないということになる可能性もあります。ハラスメントの事実が確認できない、あるいは欠勤を要するほどではないという判断がされた場合は、社員に出勤命令などを出すことになります。
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スタッフがクリニックに来なくなった場合、解雇は可能か?
2週間以上の無断欠勤及び改善が見込めない場合は認められる
できる限りの手段を尽くして本人と接点を持ち、ケースに応じて対応、専門家と相談しながら対処することが適切です。国の判断基準(昭和23.11.11基発1637号、昭和31.31.1基発111号)は、「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」、「数回にわたって注意を受けても改めない場合」を挙げています。
根拠なく解雇や減給をしてはいけない
就業規則に定めがなければ、解雇や減給といった対処ができません。
解雇や減給は就業規則がの根拠になります。ただし、従業員にとって著しく不利な規定は、合理性を欠くことから無効と判断される可能性があるため注意が必要です。この就業規則に基づく退職及び解雇は、最終手段という位置づけのため、出勤を促すための努力はしなければなりません。
就業規則による記載
無断欠勤においては、まず、無断欠勤を解雇事由として就業規則として定めることが必要です(労働基準法89条)。
モデル文例としては以下のとおりです。
第〇条 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。
(略)
・2週間以上欠勤し、出勤の督促に応じないとき
期間については、あまりに短期だと、そもそも就業規則に合理性がないとして解雇は無効になりかねません。もっとも、無断欠勤が続く理由が、例えばハラスメント等の職場環境の悪化であったり、本人の病状であったりする場合には、解雇が相当性を欠くとして無効になりえます。
解雇の通知義務について
解雇は通知する義務があります。
労働基準法第20条では、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。」と規定されています。そのため、基本的には本人への通知が必要なため、連絡が取れない状態が続いていれば解雇することができなくなりますので注意が必要です。
無断欠勤を理由とした解雇
専門家に相談の上、適切な処分の検討が必要です。
労働契約法16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されています。この規定により、例え就業規則に記載してあったとしても、社会通念上相当であると認められない場合は無効になります。そのため無断欠勤が理由とは言え、専門家に要相談になるケースも多くあります。
スタッフ欠勤に関するよくある質問
- 退職したスタッフに対する損害賠償請求はできますか?
-
基本的にはできません。
新入スタッフの採用には多くの金銭的・時間的なコストがかかります。クリニックの立場を考えると、なんらかの損害賠償を請求したい気持ちはわかりますが、クリニックが納得できる判決や賠償金額が認められるケースはごく稀です。
- 体調不良で欠勤が多い従業員がおり業務に支障が出ています、どうすればいいですか?
-
欠勤の理由についてヒアリングしながら改善指導を含めた対応を決めましょう。
トラブルにならないよう対応するには、威圧的にならない態度を心がけつつ、対象となる従業員と、話し合いの場をつくるところから始めましょう。考えられる事情としては、体調不良や事故、忌引き、交通機関の乱れなどが一般的な事情です。ヒアリング内容にもとづき、従業員の努力不足などが背景にある場合には、従業員の改善指導を行います。
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