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「“患者とじっくり向き合える職場を選ぶ大切さ”とは」ー 看護師の伊藤加奈子氏に聞く。

働き方改革やライフステージの変化に伴い、看護師のキャリア選択は多様化しています。急性期の現場で高度な医療を学び続ける道もあれば、患者さんや家族と腰を据えて関わる地域医療を選ぶ道もあります。その分岐点で「自分は何を優先したいのか」を見極めることは、多くの看護師にとって大きなテーマになっています。今回お話を伺ったのは、藤田医科大学病院の消化器外科病棟からキャリアをスタートし、現在は岐阜県にある松波総合病院の地域包括ケア病棟で勤務する伊藤加奈子さん(33)。急性期の現場で技術と判断力を磨きながらも「患者さんとじっくり向き合いたい」という思いを抱き、結婚を機に転職を決断しました。転職サイトを活用し、自分の希望を整理したうえで新しい職場に出会えた経緯や、現在のやりがいについて語っていただきました。

伊藤加奈子(いとう かなこ)

1987年愛知県生まれ。藤田医科大学を卒業。2015年藤田医科大学病院に入職。消化器外科病棟に勤務。結婚し岐阜県に引っ越す。2023年松波総合病院に転職。地域包括ケア病棟に勤務。【保有資格】看護師、保健師

目次

今行っている仕事や取り組んでいることについて

ー 現在はどのような病棟で勤務されているのですか。

伊藤:私は岐阜県にある松波総合病院の地域包括ケア病棟で勤務しています。ここは急性期治療を終えた患者さんが在宅や施設復帰に向けて準備をする場であり、病状の管理だけでなく生活全体を見据えた看護が求められます。夜間の観察や服薬指導、栄養管理、リハビリ連携、退院後の生活環境調整など幅広い業務を担っています。患者さんやご家族と「退院後どのように暮らしたいか」を話し合う機会が多く、その思いを尊重することを大切にしています。

ー 印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか。

伊藤:最近は認知症のある高齢の女性患者さんを担当しました。夜になると「家に帰る」と混乱されることが多かったのですが、ご家族にお願いして家族写真を用意していただいたところ、それを見ながら会話をすることで落ち着き、安心して眠れるようになりました。退院時にご家族から「あなたが担当でよかった」と声をかけてもらえたことは、看護の意義を改めて実感できる瞬間でした。

ー 臨床以外で力を入れている取り組みはありますか。も続けているのでしょうか。

伊藤:はい。現在は教育係として新人看護師の指導も行っています。地域包括ケア病棟は多職種との連携や幅広い判断力が必要なため、事例をもとに患者・家族との関わり方を伝えています。また、振り返りの場を定期的に設けて後輩の不安や課題を一緒に整理し、前向きに看護へ取り組めるようサポートしています。後輩が「患者さんに寄り添いたい」と意欲的に成長していく姿に触れると、自分自身も励まされますし、今後は人材育成にもさらに力を注いでいきたいと考えています。

結婚を機に転職を決意

ー 看護師としてのキャリアはどのようにスタートされたのですか。

伊藤:私のキャリアは藤田医科大学病院の消化器外科病棟から始まりました。手術後の管理や重症患者への対応、急変時の処置など常に緊張感が伴う現場で、判断力や技術を大きく磨くことができました。やりがいは大きかったのですが、夜勤や残業が続く中で「もっと患者さんとじっくり向き合いたい」という気持ちが強くなっていきました。結婚を控えていたこともあり、家庭との両立をどう実現するかを真剣に考えるようになったのです。

ー 結婚を機に転職を考えられたのですね。

伊藤:はい。岐阜県に転居することが決まった時点で、通勤や生活リズムの変化を見据え、転職を真剣に検討しました。まずは「患者さんと腰を据えて関われること」と「通勤時間が短いこと」という自分の優先順位を整理し、その2つを軸に職場を探すことにしました。とはいえ土地勘のない地域での活動には不安も多く、効率的に進めるために転職サイトを活用しました。

ー 転職サイトの利用ではどんなサポートがありましたか。

伊藤:登録すると担当アドバイザーがつき、希望条件を丁寧にヒアリングしてくれました。求人票に載らない実際の残業時間や職場の雰囲気、スタッフの年齢層や子育て世代の働き方といったリアルな情報も提供してくれたんです。自分だけでは得られない情報を比較できたことは、非常に心強い支えになりました。その後、いくつかの病院を見学し、最終的に現在の職場が自分の理想に最も近いと判断しました。

ー 入職後の環境はいかがでしたか。

伊藤:地域包括ケア病棟に配属され、急性期病棟に比べ患者さんの病状が落ち着いており、退院に向けて一人ひとりと対話する時間が増えました。退院支援や多職種連携にも力を入れています。例えば脳梗塞の後遺症を抱える患者さんには、リハビリスタッフやご家族と一緒に退院後の生活をイメージし、入院中から自宅環境を整え歩行練習を行いました。退院の日に笑顔で歩く姿を見られた時は、大きなやりがいを感じました。

ー 転職後、生活全体にはどんな変化がありましたか。

伊藤:通勤時間が短くなったことで家庭との時間も確保できるようになりました。以前より早く帰宅でき、家族と食卓を囲む時間や子どもと遊ぶ時間が増え、生活全体に心身の余裕が生まれました。こうした変化を得られたのは、自分の希望を整理し転職サイトで相談したからこそです。情報を集めてもらい、比較検討を重ねたことで納得のいく転職につながったのだと思います。

転職で上手く行ったこと・コツ・反省点

ー 転職活動で特にうまくいったと感じる点は何でしょうか。

伊藤:まず「希望条件を具体化したこと」です。「患者さんとしっかり対話できること」「通勤時間が短いこと」「育児との両立ができること」といった優先順位を紙に書き出し、ぶれないようにしました。その結果、転職サイトの担当アドバイザーにも明確に伝えることができ、希望条件と実際の職場とのミスマッチを減らすことができました。

ー 転職サイトを利用して良かった点はどんなところですか。

伊藤:複数の病院を比較できたことが大きな利点でした。ホームページや求人情報だけでは分からない残業時間や職場の雰囲気などをアドバイザーに確認できたのは助かりました。見学する病院を絞る段階で情報を得られたので、実際に足を運んだ際に環境や雰囲気をしっかり掴み、自分が長く働ける場所を選ぶことにつながったと思います。

ー 面接や見学の調整などでサポートを受けたことはありましたか。

伊藤:はい。病院との日程調整をアドバイザーが代わりに行ってくれたため、スムーズに進みました。私が仕事をしている間も連絡を取ってくれていたので、返信が早く負担が少なかったです。転職サイトを利用したことで、自分の時間を節約しつつ効率的に活動できたのは大きなメリットでした。

ー 反省点や今後に活かしたい点があれば教えてください。

伊藤:転職活動を始めるタイミングで準備に余裕がなかったことは反省点です。引っ越しや家庭の変化、業務の引継ぎが重なり、書類準備や見学の日程がタイトになってしまいました。また、当初は給与や福利厚生ばかりに目を向けていましたが、実際に働くと子どもの急な体調不良への対応や残業時間の少なさなど、日々の生活に直結する条件の方が重要だと実感しました。今後は「自分の軸を持つ」「十分な情報収集をする」「病院を直接見学する」ことを徹底したいと思っています。

転職する方へのアドバイス

ー 最後に、これから転職を考えている看護師の方へアドバイスをお願いします。

伊藤:転職活動を始める前に、自分のライフステージや仕事観を見直すことをおすすめします。「何を優先するのか」を明確にすることで、目的を持った活動ができます。通勤時間や夜勤の頻度、残業、家庭との両立、働きがいなど、自分が大切にしたい条件を整理してみてください。求人票の情報だけで判断せず、病院見学や面接を通じて職場の雰囲気を自分の目で確かめることも大切です。

気になる点は遠慮せずに直接確認する勇気を持ちましょう。さらに、転職サイトを活用すれば、病院への条件交渉や勤務開始日の調整など、自分では伝えにくいことを相談でき安心です。私自身もサポートを受けたことで情報不足による後悔を避け、満足できる職場に出会えました。

転職はキャリアをリセットするものではなく、自分らしい看護を実現するための一歩です。焦らず条件を見極めながら進めれば、必ず自分に合った職場が見つかると思います。

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この記事を編集した人

転職に本当に必要な情報を届けるメディアというコンセプトで2024年に株式会社メディカルリンクの新規事業としてスタート。メディアを通じて今の自分に相応しい職場を見つけるサポートを行う。見やすく分かりやすいサイトデザインと徹底した取材・市場調査で転職を検討しているユーザーの満足度を上げる事をミッションに定める。

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